なぜ「採用予定」の確認で迷うのか
外国人材紹介の営業担当者が電話をかけるとき、多くの人が同じところでつまずきます。採用予定の有無を聞きたいのに、いつ、どう切り出せばいいか分からないという悩みです。
架電先の多くは、電話口に出た瞬間に「営業だな」と身構えます。ここでいきなり「外国人材の採用予定はありますか」と聞くと、社交辞令の「今のところは」で終わりやすくなります。
ある製造業の企業では、電話を受けた人事担当者が「上に確認します」とだけ答え、そのまま折り返しが来ないケースが目立っていました。これは聞き方の順番に原因があることが多い状態です。
一方で、ある物流企業の例では、現状の採用活動全体を先に確認してから外国人材の話に触れたところ、担当者が具体的な人数や時期まで話してくれたという場面もあります。
つまり採用予定を聞く前に、相手の採用活動全体の温度感を確認することが、確度を引き出す近道になります。いきなり本題に入らないことが、遠回りに見えて実は早い方法です。
この記事では、採用予定をどう確認するか、聞く順番、誰に何を聞くか、そしてよくある失敗を順に整理していきます。
採用予定の定義をそろえる(社内で決めておくこと)
電話で採用予定を確認する前に、社内で「採用予定あり」と呼ぶ基準をそろえておく必要があります。基準がないと、担当者ごとに確度の判断がばらつき、リストの優先順位が崩れます。
「検討している」と「予算が承認されている」は、営業側から見ると全く違う確度です。この違いを曖昧にしたまま架電すると、後工程の提案準備が空振りに終わることがあります。
ある人材紹介会社の営業チームでは、配属時期・人数・予算承認の有無の3つがそろって初めて「予定あり」と記録する、という運用に変えたことで、フォローの優先順位がつけやすくなりました。
別の企業では、逆に基準を決めずに架電を続けた結果、担当者Aは「関心あり」を予定ありとして扱い、担当者Bは厳しめに判断するという状態が続き、商談化率の分析ができなくなっていました。
社内で決めておきたい項目は、次のようなものです。
- 配属時期:3か月以内か半年以内かで確度を分ける
- 人数:1名なのか複数名なのかで提案内容が変わる
- 予算承認:稟議が通っているか、これから通す段階か
- 受け入れ体制:寮や日本語教育の準備状況
これらを電話の最中にすべて聞き取る必要はありません。まず何が分かれば「フォロー対象」と判断できるかを、事前に決めておくことが重要です。
電話でどう聞くか(質問の順番)
採用予定を確認する電話は、いきなり本題に入らず、段階を踏んで聞くことで答えてもらいやすくなります。順番を変えるだけで、同じ質問でも印象が大きく変わります。
最初に聞くのは、外国人材そのものではなく、採用活動全体の状況です。「今、採用活動は落ち着いていますか、それとも動いていますか」といった聞き方が入りやすくなります。
次に、外国人材への関心度を確認します。「外国人材の採用は検討されたことがありますか」という聞き方であれば、経験の有無を答えるだけなので抵抗が少なくなります。
最後に、具体的な時期や人数を尋ねます。ここまで来て初めて「もし採用されるとしたら、いつ頃、何名くらいのイメージですか」と聞くと、答えやすい流れになります。
ある倉庫業の企業への架電では、いきなり人数を聞いたところ電話を切られましたが、別の担当者が現状確認から入り直したところ、同じ企業から具体的な検討状況を引き出せたという場面もありました。
- 1現状確認の質問採用活動全体が今動いているかどうかを尋ねる
- 2関心確認の質問外国人材の採用を検討した経験の有無を尋ねる
- 3確度確認の質問配属時期と人数の具体的なイメージを尋ねる
- 4次接触の合意資料送付か再度連絡してよいかの許可を取る
この順番を守るだけで、担当者が答えやすくなり、途中で電話を切られる場面が減ります。最初の30秒で本題に入らないことが、結果的に近道になります。
受付・人事担当者・決裁者で聞く内容を変える
電話に出る相手によって、聞ける情報の範囲は変わります。受付、人事担当者、決裁者では、同じ質問でも返ってくる情報の質が違います。
受付で止まった場合は、採用予定そのものを深く聞くのは難しく、担当部署への取り次ぎ可否を確認する段階になります。ここで無理に踏み込むと、警戒されて次の接触が難しくなります。
人事担当者につながれば、採用活動全体の状況や、外国人材への関心度までは聞けることが多いです。ただし予算の最終判断は別部署にあることも多く、確度の断定は避けたほうが無難です。
決裁者につながった場合は、配属時期や人数まで具体的に聞ける可能性が高くなります。ここでの回答は確度の高い情報として扱ってよい場面です。
ある建設関連企業では、受付の段階で人事部の直通番号を聞き出せたことで、次回以降の架電がスムーズになった例もあります。逆に、決裁者と思って話を進めたら実は現場責任者で、予算については何も答えられなかったという場面もあり、相手の立場を早めに確認することが欠かせません。
| 観点 | 受付 | 人事担当者 | 決裁者 |
|---|---|---|---|
| 聞ける情報 | 取り次ぎ可否のみ | 採用活動全体・関心度 | 時期・人数・予算 |
| 聞き方 | 短く要件を伝える | 段階を踏んで聞く | 具体的な数字を聞く |
| 次のアクション | 担当部署の確認 | 資料送付の合意 | 次回商談の設定 |
この違いを理解しておくと、電話ごとに「今どこまで聞ける相手か」を判断しやすくなります。
よくある失敗とその避け方
採用予定の確認でよく見られる失敗はいくつかパターンが決まっています。避け方も含めて整理しておきます。
一つ目は、聞きすぎて警戒される失敗です。最初の電話で配属時期・人数・予算まで一気に聞こうとすると、担当者は「営業色が強い」と感じて距離を置きます。
二つ目は、社交辞令をそのまま確度として記録してしまう失敗です。「機会があれば検討します」を「予定あり」として扱うと、後工程の商談化率が下がり、リストの信頼性が崩れます。
三つ目は、担当者不在のまま終わらせてしまう失敗です。取り次ぎ先が不明なまま電話を切ると、次にかけたときにまた一から状況説明をすることになります。ある企業では、この確認を怠ったために、同じ会社に3回架電してすべて別の担当者に一から説明する事態になっていました。
四つ目は、リストの優先順位をつけないまま架電を続ける失敗です。確度の高い先も低い先も同じ頻度で連絡してしまい、限られた時間が有効に使えません。
- 失敗1:一度に聞きすぎる → 段階を踏んで複数回に分ける
- 失敗2:社交辞令を確度扱いする → 配属時期・人数・予算の3点で判断する
- 失敗3:取り次ぎ先を確認しない → 電話の最後に担当部署名を必ず聞く
- 失敗4:優先順位をつけない → 確度別にフォロー頻度を変える
これらは特別な技術ではなく、電話の中でひと手間加えるだけで避けられるものです。
外国人材紹介ならではの確認ポイント
外国人材紹介の営業では、一般的な採用予定の確認に加えて、在留資格区分と受け入れ体制という業界特有の確認事項があります。
在留資格の区分(技能実習、特定技能など)によって、受け入れ企業側に必要な準備が変わります。企業側がこの違いを理解していない場合、電話の中で簡単な説明を挟む必要が出てきます。
受け入れ体制についても確認が必要です。寮の有無や日本語教育のサポート体制が整っていない企業には、採用予定があっても提案の中身が変わります。
配属までのリードタイムも重要な確認事項です。在留資格の手続きには一定の期間がかかるため、企業が想定している時期と実際に配属できる時期にずれがあることがあります。
ある宿泊業の企業では、採用予定はあるものの寮の準備ができておらず、配属時期が当初の想定より数か月後ろ倒しになった例もありました。こうした事情は、電話の早い段階で軽く触れておくと、後の提案がスムーズになります。
どちらが正しいというより、相手の受け答えの温度感を見て使い分けることになります。急いでいる様子がなければ、資料送付後に聞く流れの方が警戒されにくいこともあります。
判断に迷う場面での考え方(確度の段階分け)
電話の答えが「検討します」だった場合、それをどう扱うかで迷う場面がよくあります。ここでは確度を3段階に分けて考えることをおすすめします。
一段階目は「未検討」です。外国人材の採用を考えたことがない状態で、まずは情報提供から始める段階になります。
二段階目は「検討中」です。関心はあるが、時期や人数が固まっていない状態で、定期的なフォローが必要な段階です。
三段階目は「予定あり」です。配属時期や人数がある程度固まっており、次の商談に進める状態です。
この段階分けをしておくと、フォローの頻度や内容を変えることができます。未検討の相手には情報提供を、検討中の相手には定期連絡を、予定ありの相手には商談の提案を、というように対応を分けられます。
ある小売業の企業では、一度「検討中」と分類した先を半年放置してしまい、その間に競合の人材紹介会社に決まってしまったという失敗もありました。段階を分けたら、次にいつ連絡するかまでセットで決めておくことが大切です。
判断に迷ったときは、どの段階の情報が確認できたかを基準にすることで、担当者の主観に左右されずに次のアクションを決められます。
まとめ
採用予定の確認は、経験がなくても型を守れば再現できる仕事です。ここまでの内容を、明日からの行動に落とし込みます。
明日やることとして、まずは自社の「採用予定あり」の定義を、配属時期・人数・予算承認の3点で書き出してみてください。既存のリストにこの基準を当てはめるだけでも、フォローすべき先が見えてきます。
ただし、この確認作業を人の電話だけで回そうとすると、どこかで詰まります。段階を踏んで聞く分、1件あたりの通話時間が延びやすく、架電できる件数が伸びません。担当者が他の業務と兼務している場合は、なおさら手が回らなくなります。
この壁は、AI音声エージェントに一次架電を任せることで変わる部分があります。現状確認と関心確認の段階はAIが担当し、担当者が対応できる時間帯を広げつつ、会話の記録は自動で残ります。確度が高いと判断された先だけを人が引き継げば、限られた時間を「予定あり」の相手に集中させられます。
ただし、向き不向きは企業の架電件数や商材によって変わります。自社の件数と条件に当てはめて、無料相談で確かめてみてください。




