なぜ「制作が忙しい」と新規開拓が止まるのか
Web制作会社の新規開拓は、受託の忙しさに合わせて止まったり動いたりを繰り返しがちです。案件が立て込む時期には、営業に充てる時間が真っ先に削られます。
ある広告制作会社では、繁忙期になると新規開拓がほぼ完全に止まっていました。法人向けのリストは用意してあっても、電話をかける人がいない状態が続いていたのです。
問題は、担当が「手が空いた人」に依存していることです。専任の担当を決めずに新規開拓を続けようとすると、忙しさの波にそのまま巻き込まれます。
もう一つの理由は、電話営業そのものの負荷です。新規開拓の電話は断られる回数が圧倒的に多く、続けるほど心理的な負担が積み重なります。
実際に、断られ続ける仕事のためにアポインターが辞めてしまうという声も少なくありません。担当者が入れ替わるたびに、ノウハウも一緒に失われます。
こうした構造を放置すると、新規開拓は「余力があるときだけの活動」になり、受注の波がそのまま会社の業績の波になってしまいます。
新規開拓を止める3つの構造的な理由
新規開拓が止まる理由を分解すると、大きく3つに整理できます。担当者の兼任、リストの停滞、そして心理的な負担です。
1つ目は、ディレクターや営業担当が制作進行と兼任している点です。納期が近づくと、電話をかける時間は真っ先に削られてしまいます。
2つ目は、法人リストが用意されていても更新・精査されないままになっていることです。古いリストにかけ続けても、断られる確率が上がるだけです。
3つ目は、断られ続ける仕事特有の心理的負担です。架電を担当する人が疲弊し、離職につながりやすいという声は、他業種でもよく聞かれます。
この3つは独立していません。兼任で時間が足りないから架電数が減り、リストが古くなり、断られる比率が上がり、担当者が疲弊する、という悪循環になっています。
悪循環を断ち切るには、どこか1点を変えるのではなく、役割そのものを分けて考える必要があります。
誰が新規開拓を担うか:3つの選択肢を比べる
新規開拓を仕組みにするとき、まず考えるべきは「誰が架けるか」です。選択肢は大きく3つあります。
1つ目は、兼任ディレクターが空き時間に架ける方法です。コストはかかりませんが、繁忙期には真っ先に止まります。
2つ目は、専任担当を採用する方法です。継続してかけられますが、採用と教育に時間がかかり、断られ続ける仕事のため定着しにくい面もあります。
3つ目は、外部の営業代行に任せる方法です。人を採用する手間は省けますが、コールの内容や進め方を自社でコントロールしにくくなります。
| 観点 | 兼任ディレクター | 専任担当を採用 | 営業代行に委託 |
|---|---|---|---|
| 対応できる件数 | 繁忙期にゼロに近づく | 安定するが人数に依存 | 契約件数まで安定 |
| 立ち上がりまでの期間 | すぐ始められる | 採用・教育に数か月 | 契約後すぐ動ける |
| 断られたときの負担 | 本人が抱え込む | 定着しにくい要因になる | 委託先が引き受ける |
| 費用の考え方 | 追加費用は少ない | 固定人件費が発生 | 委託費用が発生 |
どれか一つが正解というわけではありません。自社の受注件数と繁忙期の波に合わせて、複数を組み合わせるのが現実的です。
例えば、リストの精査だけ外部に頼み、電話は自社の専任担当がかける、という分担を取っている会社もあります。
持ち場を分ける:リスト・時間帯・トークの3点
新規開拓を仕組み化するには、「誰が架けるか」だけでなく「何を分担するか」も決める必要があります。ポイントはリスト・時間帯・トークの3つです。
リストの精査は、架電とは別の作業として切り出せます。担当者を分けることで、架電担当は電話だけに集中できます。
時間帯についても、担当者の空き時間に合わせるのではなく、相手が電話に出やすい時間帯をあらかじめ決めておくと、無駄な発信が減ります。
トークも同様です。断られたときの切り返しまで含めてトークスクリプトを用意しておけば、担当者が変わっても品質が落ちません。
- 1リストの精査古い連絡先や重複を取り除き、架電対象を確定する
- 2時間帯の設定受付が対応しやすい時間帯を決めて発信を集中させる
- 3トークの用意断られたときの返し方まで含めて型を作る
- 4架電を実施する決めた持ち場に沿って担当者が実際に発信する
- 5記録と振り返り断られた理由を残し、次のリストに反映する
この分担ができていると、担当者が変わっても新規開拓が止まりません。属人化を避けるための最初の一歩です。
よくある失敗とその避け方
新規開拓を仕組みにしようとして、うまくいかないケースにはいくつかの共通点があります。
よくある失敗の1つは、リストを作って終わりにしてしまうことです。架ける担当が決まらないまま放置され、結局忙しさに埋もれてしまいます。
もう1つは、断られた理由を記録せずに次のリストへ進んでしまうことです。同じ断られ方を繰り返し、改善のヒントを失います。
さらに、担当者一人にすべてを任せてしまうケースも見られます。その人が辞めた瞬間、新規開拓のノウハウごと失われます。
避け方はシンプルです。担当を決める前に、以下のような項目を社内で合わせておくと失敗が減ります。
- 担当の範囲:誰がリスト作成・架電・記録のどこを持つか
- 引き継ぎ方法:担当が変わっても分かる記録の残し方
- 目標の単位:件数か接続数か、何を見て続けるかを決める
- 見直しの頻度:リストとトークをいつ更新するか
社内で決めておくこと:判断の軸を先に合わせる
社内で決めておくべきことは、担当を決める前の「判断の軸」です。何を基準に自社でやるか、外部に任せるかを決めるかを先に合わせておきます。
判断軸の1つ目は、架電に割ける時間です。兼任者の空き時間だけで足りるのか、専任か外部が必要かを見積もります。
2つ目は、架電できる件数の目安です。月に必要な件数に対して、今のリソースで届くかを確認します。
3つ目は、断られたときの心理的な負担を誰が引き受けるかです。ここを決めずに始めると、担当者の疲弊がそのまま離職につながります。
こうした判断軸を、担当を決める前にチームで合わせておくと、後から担当が誰か揉めることを避けられます。
判断に迷う場面での考え方:3段階で見る
新規開拓の体制は、会社の成長段階に合わせて変えていくものです。最初からすべてを仕組み化する必要はありません。
最初の段階は、担当者一人が空き時間に架ける状態です。件数は少なくても、まずは新規開拓を止めない習慣をつくることが目的です。
次の段階は、リスト・時間帯・トークの持ち場を分ける段階です。担当が増えても品質が落ちない体制を目指します。
3つ目の段階は、件数がさらに増えて、専任や外部、あるいは架電そのものを別の手段に任せることを検討する段階です。どの段階にいるかを把握しないまま次の手段を探すと、判断を誤りやすくなります。
自社が今どの段階にいるかを確認してから、次の一手を選ぶと判断がぶれません。
まとめ:明日からの一歩と、その先の壁
明日からできることは1つです。今の新規開拓のリストを見直し、古い連絡先や重複を取り除いてから、架電の担当と時間帯を決めてみてください。
ただし、この手順を人の電話だけで回そうとすると、必ずどこかで詰まります。制作が忙しくなった瞬間に、架電できる時間そのものがなくなってしまうのが、Web制作会社特有の壁です。
この壁を、AI音声エージェントによる架電に任せると、繁忙期でも件数が落ちません。担当者の空き時間に関係なく発信でき、断られた理由も記録として残るため、担当者が変わっても引き継ぎに困りません。とはいえ、向き不向きは会社ごとのリストの規模や条件によって変わります。まずは自社の件数と条件を当てはめて、無料相談で確かめてみてください。




